Research Focus

Conceptual diagram

私たちの研究室では、”ラボで行う基礎的な実験””スポーツ競技や臨床現場へ還元させる研究”のオーバーラップする分野、あるいはそれらを橋渡し可能な(非侵襲的な)研究手法を用いて領域のパラダイムを大きく変化させ、社会実装へと接続できる研究スタイルを目指しています。そのため、運動やスポーツをしているときのパフォーマンスを科学を使って見えるようにしていくことへ包括的に取り組んいます。




Research Style

ヒト骨格筋特性やコンディション/リカバリーの定量的評価を通じた『見える化』によるスポーツパフォーマンスやヘルスプロモーションの向上/改善を目指し、3つの柱を念頭に置き研究を推進しています。

■Muscle -Bio- property
主に超音波画像診断装置を使用して、骨格筋の構造および質の変化を定量化していきます。これは、骨格筋のリアルタイムな変化を解明することに優れた手法となります。特に筋の硬さに関する画像解析に力を入れていますが、触診など手で押し込むことを示す硬さ(hardness)と、伸ばした際の硬さ(stiffness)の両方を明確に区別した上で実験に取り組んでいます。

伸ばした際の硬さを評価するShear wave elastographyの一例:色付けされている部分の硬さを数値で示すことができます

■Chemistry
血液、唾液、尿中に遊離する筋タンパクや炎症物質、ホルモン、酵素などを用いて骨格筋成長時または損傷時における生化学的な変化を定量化していきます。これは、骨格筋の構造変化をもたらした機序背景を解明することに優れた手法となります。特に、サルコメア構成タンパクのタイチンを指標に骨格筋特性やパフォーマンスとの関連を検証しています。上記shear wave elastographyとの関係性について調査が進んでいます(論文)。

■Muscle mechanics
地面反力計や3次元動作解析装置等を使用して、生体の動きまたはそれらに働く「力」とその相互作用を定量化していきます。これは、運動による骨格筋の構造および生化学的な変化が生じた原因となる実質的負荷を解明することに優れた手法となります。

また、時には他研究室との共同研究の知見により位置情報/空間情報を用いたセンシング技術や、理学療法の視点を基盤とした運動指導(処方)を用いて研究を推進しています。

Example -1

■動作解析
パフォーマンスを見える化することに向いている解析で、ゴルフやテニス、ランニング、フェンシング、アーチェリー、剣道、ブレイブボードなど様々な競技種目を対象に測定を行っています。3次元動作解析のみならず、一例ではハイスピードカメラと筋電図を組み合わせた解析(以下の図をご参照ください)など、目的と課題を明確にした上で装置を選定し、動作のクセや筋肉が収縮し始めるタイミングを見える化しています。研究のための実験というよりは、スポーツ競技の現場の知見をよりラボ実験へ取り入れるためのフレームワークをとても大切に考えています。

ゴルフスイング中の動作解析の一例です

Example -2

■走能力解析
50mや100mが速いのか、初速が速いのか、後半が速いのか。走能力も様々です。大学発ベンチャーとして連携するS-CADE.光電管を利用する走能力解析では、事前に設定した任意区間の速度が瞬時にタブレット端末にグラフ化して表示されます。陸上競技のみならず、野球でも利用しています。

Example -3

■F-V Profile
より強い力を出せるようにするために、あるいは、より速度を高めるために、今の身体からの出力がどういったプロファイリングになっているのかを確認する必要があります。研究室ではF-V Profileを今後のトレーニング計画に向けた方針を選択する羅針盤として利用しており、その後のvelocity based training(VBT)等に役立てます。